「クライアントの満足を引き出す、Webディレクションの上流工程」ワークショップに参加した
2年ほど前からディレクターという肩書で働いているわたくしですが、扱っているのがウェブサービスかつ職種の異なるチームで開発しているためか、ディレクションのみならず企画からマーケティング、ちょこっと営業まで毎日ごりごりやっている。
バックグラウンドもカスタマーサービスを経て新規事業の立ち上げ担当で広報営業総務人事といろいろな業務をかじってきてはいるけれど、純粋な「Webディレクション」というものが一体どんなものなのか、どういうポイントを重視して仕事をしているのか、というのはいまだ未知の領域。
ということで、このたびその疑問を解決するため
クライアントの満足を引き出す、Webディレクションの上流工程 @福岡Webディレクターズ Vol.3 – Sponsored by D-zero on Zusaar
というセミナー&ワークショップに参加してきました。
講師はWeb制作会社株式会社デスクトップワークス代表取締役であり、オンラインスクール「schoo(スクー)」の先生でもある田口真行さん。
最近は共著であたらしく本も出版されました。
このセミナー、なんと5時間にわたるスペクタクルなスケジュールだったのだけれど、あっというまに時間が過ぎてしまうほど濃密で飽きのこない内容で、めちゃくちゃおもしろかった。
本当の魅力はセミナーを受けてみないときちんと伝わらないと思うのだけれど、セミナー中にとったメモの中から特に印象に残った部分を。
目次
アイディアは大量に出す。
- それを元に刺さる企画に昇華させ、たくさんの候補の中からベストなものを選ぶ。
アイディアが出にくいときは?
- もしもシリーズ
- もしも社長だったら、マニアだったら、映画だったら、小説だったら、アニメだったら…
- 視点が増える
- アイディアを量産できる
ここで「もしも織田信長だったら」「もしもスティーブ・ジョブズだったら」という設定で有名なプロダクトの新しいプロモーションを考えるというチームワークショップ。
アイディアのそれっぽさはもちろん、プレゼンの魅せ方も考えなくてはならないのでけっこう頭使います。
- なぞなぞ
「クライアントの無茶な要求はなぞなぞだと思うと楽しく解ける」というコメント、最高だと思った。- 頓知をきかせた答えを要求する
- 意味をこじつけた駄洒落、洒落
- なにかにたとえる
- XXXはXXXでも△△︎なものなーんだ
- 別角度から迫れる
- 無理難題系の問題解決アプローチに最適
- マツコ
田口先生オリジナルの呼び名。マツコ&有吉の怒り新党はブレストのお手本。
アイディアブレストのファシリテーション手法が学べるとのこと
ブレストをスムーズに進めるファシリテーション手法
-
シックスハット
- 役割を決めてそのとおりに演じる(超ポジティブ、超ネガティブ、大好き、大嫌い、興味ない、裏回し、司会)
- 重要なのは裏回し(視野を広げるために話題を急に変えたりする、アメトーークでいうとホリケン的役割)
- 興味ない立場の人は客観的な視点を与えてくれる役割として必要
- 役割を決めることのメリット
- 視点が広がり、切り口が増える
- 相手の立場に配慮しながら意見を出し合える
- 反論に対して策を持てる(あとでクライアントから予期せぬ質問を受けた場合に有効)
眼から鱗だったのは「ブレスト=ネガティブな意見を言っちゃダメ」というわけではないということ。
世の中には、自分たちが今から売り出していくプロダクトに対して全く興味のない層やアンチ層が必ずいるわけで、必要によってはいかに彼らの興味を引くかが重要になってくる。
なので、各アイディアにしっかりと説得力を持たせる必要がある。
ポジティブな意見だけを言っているとその視点が不足してしまうことがあるんだそうな。
説得力は、アイディアの深層を掘り下げていくことで次第に炙りだされてくる。
「興味のない顧客層にアプローチするためのヒントはネガティブな考え方に潜んでいる」という先生の言葉は腑に落ちたし、
これからブレストでも取り入れていこうと思った。
ベストアイディア選出のための測定基準
- 10ポイントずつで評価
- 効果
- クライアント側の手間
- やる意義
- クライアントの共感度
- 斬新さ
- 実現性
- 他社との差別化
- スピード
- コスト
- 副次的メリット
- ターゲット
大切なのはクライアントが企画を選ぶときに重視するポイントで測定すること。
アイディアの中身だけではどれが最善なのかみえにくいので、「選びやすく」してあげるために基準を用意する。
それはお店のメニューと一緒の視点とのこと。
勝つプレゼンの極意〜3つのポイント
- 「思い」に勝る要素はない
- 企画には「根拠」が必要
- 相手を納得させる、納得すればいいと思ってくれる
- デザイン案はメール添付じゃダメ
- 相手の「共感」を狙え
- なぜこの企画をやるのか、理由を説明する
プレゼン上達のポイント
- プレゼン上達のポイントは知識を学ぶことじゃない
- 空気&空間づくり
- ツールの使い分け
- 喋り
- コールアンドレスポンス
- 明確な着地点
最後のまとめに田口先生が仰っていたのは「クライアントの満足を最大限に引き出すためには、常に提案視点を持つこと」。
クライアントの要求に、相手の期待の範囲内で応えていても大満足にはつながりにくい。
常に一歩先を見据えて提案視点を持って向き合うことが「一流のおもてなし」。
(それは決して「仕事を得るために無茶をする」ということではなくて)
これは本当にそのとおりで、こんなふうに一歩先の提案ができることは真摯にクライアントと向き合ってよりよい仕事をしようとしている姿勢の表れだし、そんな姿勢を持ってできる仕事がどんどん増えていくべきだと思う。
普段の仕事にも活かしていけそうなヒントがいくつもあって、参加してよかった〜という満足とともに帰路に就きました。
楽しかった!