第一回「メディア芸術オープントーク」に行ってきた
3331 Arts Chiyodaで行われたメディア芸術カレントコンテンツを聴きにゆきました。
近年、現代の日本文化を代表する分野として「メディア芸術」に大きな期待が寄せられています。「メディア芸術」は、「デジタル表現や先端テクノロジーを用いたメディアアートだけでなく、エンターテインメント性のあるマンガ、アニメ、ゲームなども含む領域」とされていますが、これら既存の文化ジャンルにとらわれることなく、時代に呼応した新たな文化として議論すべき時機がきたのではないでしょうか。実際、テクノロジーの発展とともに表現の可能性も拡大し、既存の文化ジャンルの境界は極めて曖昧になっているともいえます。
新しくシリーズとして始まる「メディア芸術オープントーク」は、メディアアート、美学、美術史、社会学などの分野で鋭い発言を続ける専門家4名を「コア・フェロー」として迎え、この「メディア芸術」という新たな領域を多角的に読み解くオープン・プラットフォームです。議論の場は、東京をはじめ国内各地。関連する分野から多彩なゲストをお招きして、みなさんとともに「メディア芸術」について考えていきたいと思います。各地の「メディア芸術オープントーク」の場でお目にかかれるのを楽しみにしています。
第一回のテーマは「『メディア芸術』ってよくわからないぞ」。
昨年来、議論を呼んできた文化庁主導の「メディア芸術総合センター」について、今、真剣に考えるとどのようなことになるのでしょうか?もちろん建物についての議論ではなく、この分野について国が関与するならばいったい何をするべきなのか、大体この「メディア芸術」とはいったいどのような分野なのか、そもそもこれは「芸術」といっていいのか、といった「そもそも論」を皆さんと話してみたいと思います。
藤幡正樹
登壇者は次の三人。
島本 浣(京都精華大学芸術学部教授、美術史学)
藤幡正樹(東京藝術大学大学院映像研究科教授・研究科長/アーティスト)
吉岡 洋(京都大学大学院文学研究科教授、美学・メディア理論)
前半は藤幡さんより、今回のトークがなぜ行われるに至ったのか、どのようなことをやっていきたいのか、ということの説明。
「通常の委員会ではその場で各々がアドホックな議論に偏りがちであるため、それとは異なった形で自由に発言する場を設けたいと思った。
“メディア芸術”というジャンルに限ってなぜその必要があるのか、ということも含め、『“メディア芸術”ってよくわからない』ということを再認識し、概観を捉え直す場としたい」とのこと。
ここで島本先生から、
「日本は昔から言葉の不確定性や重層性に捕らわれすぎている。
出来上がった言葉をいかに有効活用するかという視点を持つべき」という補足が。(成程その通り)
以降は藤幡先生のスライドによるプレゼンに、島本先生と吉岡先生がコメントするという形式。
細かい内容は割愛しますが
日本の文化芸術政策やメディア芸術祭開催までの歴史と「メディア芸術」という言葉の発生*1を追った後、国がメディア芸術に対して何をすべきかという提言につなげる、という内容でした。
「戦後メディアにはクリエイションが不足しているため、うまく文化資源が循環しない。
そのため、国は資源のリポジトリとアーカイブ*2を行い、クリエイティブに勇気を与えるべきだ」とのこと。
このスライド、とてもまとまっていて本当に分かりやすかった!
じっくり見たいので、サイトにアップしていただけるといいなあ、と思います。(さりげなく要望)
以上で前半は終了。
後半は参加者からの質疑応答を中心に議論が展開していき、これまた非常に面白かったのですが
思いの外まとめに時間がかかりそうなので、とりあえず続きは後日。